駒澤大学ギタークラブ資料館

KGC Laboratory

エッセイ

チェンバロギターと渉外と私 南原 千花

ずっとギターをやりたいと思っていて、
偶然、このクラブを見つけたことで、今に至っていますが、
大学で、ここまで真剣にギターを弾くことになるとは思っていませんでした。

4年間も続けていれば、色々と壁にぶちあたったり、嫌なこともあったりして、
正直なところ、途中で辞めてしまおうと思ったことも何度かあったのですが、
なぜ、続けられたのかと考えると・・・・、

練習すれば練習した分だけ上達していると実感できるし、
ステージで演奏していると、その瞬間が、とても特別な空間で、
皆の音が一つになってホール内に響いているのを聞くと、
何とも言えず感動してしまうのです。

演奏している時、鳥肌が立っている~と、その瞬間が忘れられなくて、
こうして今まで続けてきました。
同時に、同期メンバーや、先輩後輩から励まされたり支えられたりしたことも、
とても大きいと思います。

私は、チェンバロギターが大好きなのですが、
部に入部した時から、とてもチェンバロが気になっていました。
一番の魅力は、その可愛らしい音色で、
「2年生になったら、絶対にチェンバロをやろう!」と思っていたのです。

プライムギターとは弾き方が全然違うので、初めは基礎から練習。
他の人が新曲の音取りに入っている中、チェンバロの練習をしていることは、
周りから遅れてしまうのではないか~という不安もあったのですが、
その不安より、チェンバロを弾くことができる!~ということが、
とても楽しかったのを覚えています。

チェンバロを使う曲自体が少なかった為か、3年間弾き続けてきた今でさえ、
もっとたくさん弾きたかったぁ~という気持ちで一杯です。
そのチェンバロパートになった曲の中で、とても思い出に残っている曲があります。
それは、2年生の時の女子重奏『愛のオルゴール』です。

元々、最初に曲を選んだ時の楽譜は、プライムギターの重奏曲だったのですが、
宮下先生の編曲で、アルトギターとチェンバロの重奏曲になりました。
これがまさに、オルゴールの雰囲気が漂う、とても可愛い曲になり、
それが嬉しくて、はしゃぎながら演奏していたのを思い出します。

2年生時の「ウインターコンサート」で、この曲を発表。
「もう、弾く機会もないかもしれないな~」と思っていたら、
3年生の6月、前期発表演奏会で弾くことになり、とても焦ってしまいました・・・。

この時のステージの演出は、私達4人だけにスポットライトがあたり、
周りは真っ暗という、凄いプレッシャーの中での演奏だったのですが、
4年間の部活経験の中で、ああいう演出のステージは他にありませんでしたから、
私達4人は、とても貴重な経験をさせてもらったのではないかと思っています。

部活の役職面では、私は「渉外」という役職に就いていました。

第一希望は「会計」だったのですが、
それまで、人前で話したり、まして、他の人に指示を出したりすることが、
とても苦手に感じていた私としては、本当にやっていけるのかどうか不安でした。

ところが、実際にやってみると、意外なことに楽しくて、
先輩方も丁寧に仕事を教えてくれたからか、
思っていたよりも難しいことはなかったように思います。

演奏会が近づいてくると、ステージマネージャーとして、
部員に指示を出すことが、私の主な仕事になっていったのですが、
それよりも、ステージの流れや、舞台のセッティングなど、
演奏会の裏方の仕事を知ることが、とても楽しく思えて、
今では「渉外」という仕事をすることができて良かったと思えています。

何よりも、渉外として動いていくことで、人前で話すということにも少し慣れ、
ギターとは関係ないところでも成長できたのかもしれないことが嬉しくなります。

また、この仕事を経験していなければ、就職でも、
「営業職」を選ぶこともなかったと思うので、そう考えると、
私の人生を大きく変えてくれた役職だったのかもしれない~と思ったりもします。

4年間を振り返って、私たちの学年は決して、
「仲良し」な学年ではなかったと思います。

練習中、あまり会話がないことも珍しくありませんでしたし、
ぶつかることもありましたが、それでも一緒にやってこれたのは、
皆、ギターが好きで「良い物を作っていこう!」
という気持ちがあったからではないかと思っています。

ただの「同期」ではなく、「友達」とも少し違う不思議な関係ですが、
こういうのを「同志」というのかな~と感じています。

このクラブで、ギターの基礎、渉外の仕事を知ることができましたが、
何よりも「ギターの楽しさ」を教えてくださった宮下先生、
先輩の方々、同期のみんな、後輩たちには、とても感謝しています。

私はギタークラブが大好きなので、私が教えてもらった楽しさを、
後輩達にも伝えることが出来ただろうか?・・・という思いもありますが、
もしも、感じてくれていたら嬉しく思います。

卒業してからもギターは続けていきたいし、
たまには、練習にもお邪魔させてもらおうと思ったりもしています。
本当に素敵な4年間になりました。

ありがとうございました。

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